社内公募制度を「手挙げ異動」と位置づけ活性化し、社員がキャリアに挑戦できる文化を醸成。

社内公募制度を「手挙げ異動」と位置づけ活性化し、社員がキャリアに挑戦できる文化を醸成。

「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell beingに貢献する。」をパーパスに掲げ、事業を通じて社会価値と経済価値の共創に取り組む味の素株式会社
その達成に向けて、イノベーションを生み出す人財戦略を強化しており、社員の方々の挑戦をいっそう促すために「社内公募制度」の拡充を図っています。その狙いと成果について、人事部人事グループの三瓶様、中村様、堀内様にお話をうかがいました。

心理的ハードルの高かった社内公募を改革。
より手を挙げやすい制度へと大胆に変更。

――味の素様では、数年前より「社内公募制度」を強化・拡充されているとのことですが、その背景や意図について教えてください。
三瓶様
弊社では、社員が描くキャリアプランの実現を支援する仕組みとして、「社内公募制度」を20年以上前の2002年より導入しています。しかし、かつては現場から寄せられる公募は年に数件ほどで、ごく限られた社員が応募して異動するという特別感のあるものでした。少し語弊がありますが、社内公募に応募すると変に目立ってしまうという雰囲気もあり、躊躇する社員も多かったのが実情です。味の素(株)では、さらなる成長に向けて「挑戦」することを人財戦略の一つに掲げていますが、挑戦する文化の醸成に向けて社内公募制度をもっと機能させるべく、2023年より制度の変更に取り組みました。
――具体的に、従来の「社内公募制度」をどのように変更されたのでしょうか。
中村様
大きく3つのポイントで変更を施しました。それまでは、社内で新規に発生したポジションに対して公募をかける形でしたが、定期異動も含めて既存のポジションにまで公募枠を拡大しました。また、一人につき二つのポジションまで応募可能にし、社員がやりたいことをより実現できる機会を提供。さらに、選考においても人事部主導で行うのでなく、実際に人財を公募する現場に権限を委譲し、応募者と直にやりとりして面接等の選考活動を進めていく形に変更しました。
三瓶様
それにともなって、社内公募のスケジュールも定例化しました。弊社では毎年7月1日付で定期異動を実施していますが、そのタイミングで社内公募に合格した人財も異動できるように設定。前年の11月に公募案件を公開して12月から応募を受け付け、選考を進めて翌年の1月に合否を決定し、その後しばらく準備期間をおいて7月より新たなポジションに就いてもらう流れになっています。

公募案件数、応募人数が従来の10倍以上に。
システムの導入により人事部の負荷も軽減。

――これまで「社内公募制度」はあまり浸透していなかったとのことですが、急に社員の方々の意識や行動を変えるのは難しいようにお見受けします。制度の活用を促すために、どのような工夫をされたのでしょうか。
中村様
おっしゃる通りで、かつての公募制度を自分事として捉えている社員がほとんどいなかったという問題意識もあって、活用を促進するためには制度とのタッチポイントを強化することに力を入れました。そこで、たとえば公募する部門側に職場の魅力をアピールする紹介動画を制作してもらうことや、過去に公募で異動された方々にインタビューをして、応募の動機や現在の満足度などを赤裸々に語った記事を作成して全社に発信するなど、この制度を身近に感じてもらえるような取り組みを数々展開しています。
三瓶様
あとは、経営からの発信も大きかったと思いますね。トップがこの社内公募のことを「手挙げ異動」だと表明し、自ら手を挙げて機会を掴みにいくのを奨励するメッセージを打ち出したことで、社内全体がポジティブな空気に変わりました。社内公募に対する心理的なプレッシャーも和らいだところで、先ほど中村が申したタッチポイントを強化する取り組みなどが実施され、その相乗効果で公募への興味関心が大きく喚起されたように思います。結果、新制度のもとで初めて行われた2023年11月時の公募では、それまで数件だった公募案件数が50件を超え、応募件数も140件近くに達しました。
――「社内公募制度」への注目度が高まり、応募人数が急増したとのことですが、制度を運用する人事部側にも負荷がかかったのではないでしょうか。
堀内様
私はいま社内公募の事務局を務めていますが、以前と比べると応募人数が一気に増えたため、その情報の管理が煩雑になることが大きな課題でした。かつてはメールで応募を受け付け、提出書類のチェックや選考の進捗度合いなども手作業で十分に担えるレベルでしたが、100名をゆうに超える規模になると人手では負荷が大きく、ミスを誘発しかねません。そこでシステム化を検討し、社内公募専用の人事システムは見当たらなかったものの、ステラス社の採用管理システムである「ジョブスイート キャリア」カスタマイズすることで対応できると判断して導入を決定しました。実際、社内公募は応募受付から選考、合否判定までのプロセスなど、キャリア採用と共通する点もございます。システム化することでこちらも管理が容易になりましたし、また、社内公募のWebサイトは転職サイトのようなつくりになっており、公募されているポジションで自分の志向に合うものを検索できるなど、応募者のストレス軽減も図っています。

<point!>
・応募増加で複雑化していた社内公募の管理をシステム化し、手作業の負荷とミスリスクを大幅に削減。
・社内公募が採用プロセスと同質である点に着目し、ATSをカスタマイズすることで最適な運用を実現。
・業務負荷と属人化を解消し、公募制度を継続運用できる再現性の高い管理プロセスへアップデート。

公募へのチャレンジが、社員の間で大きな関心事に。
タッチポイントを強化し、挑戦をいっそう促していく。

――新たな「社内公募制度」を導入したことで、社内に何か変化はございましたか。
三瓶様
社内で公募制度が話題に上ることが増えたと実感しています。エレベーターや社員食堂などで「こんなポジションが公募されている」という情報交換が行われているのをよく耳にしますし、公募が一般の社員にとって大きな関心事の一つになっています。
堀内様
以前は、社内公募というのは人知れずに応募するものという雰囲気でしたが、いまはフランクに公募へのチャレンジを話せるようになってきました。この公募は、基本的に対象とするポジションの業務経験がなくでも応募可能になっており、営業からコーポレート業務、あるいは研究開発からマーケティングなど、部門を超えた異動も活発になっており、「手挙げ異動」でやりたいことに挑戦する文化が徐々に根づきつつあると感じています。
――いま狙い通りに社内を活性化させつつある「社内公募制度」ですが、今後さらに社員の方々の挑戦を促していくために、どのような取り組みを行っていきたいとお考えですか。
中村様
現状の課題としては、公募案件によって社員からの反応に濃淡があり、あまり馴染みのない部門には応募がないケースが生じていることです。それは、けっしてそのポジションに魅力がないわけではなく、単にポジションへの理解が不足していることに起因していると思っています。ですから、部門からの情報発信などタッチポイントをより強化していくとともに、オンラインで誰でも参加できる部門説明会なども企画しており、社員に対してより分かりやすくキャリアの機会を提示できればと考えています。
堀内様
システムを運用する側としては、たとえば募集組織から提出してもらう希望職種などを記したデータに不備があった時など、まだまだ人手で対応しなければならないポイントが存在しています。そうした不備を極力なくすようなフォーマットや、サイト上での入力ミスをなくすようなUI(ユーザーインターフェース)をステラス社にも力添えいただきながら追求し、より運用しやすいシステムへ改善していきたいと考えています。
――では最後に、「社内公募制度」の導入や拡充をお考えの企業の人事部のみなさまに向けて、知見をご提供いただけますでしょうか。
三瓶様
社内公募をはじめ人事にまつわることは、社員のキャリアに関わるため間違いが許されません。特に公募は、案件や個人のチェック業務や、選考のための調整業務など、正確に処理しなければならない作業が多岐にわたり、心理的な負担も大きい。そこから解放され、業務を大幅に効率化するための手段として、システムを導入するのは有力な選択肢の一つだと思います。また、社内公募というのは人財が抜けた部門側に不満が溜まりがちですが、定期異動のタイミングで異動を実施することで、抜けた人財の穴を人事側できちんと補うことができる。こうして全体最適を意識しながら、個人にとっても組織にとっても利のある制度を設計し運用することが、公募を真に機能させて社内に挑戦的な文化をもたらしていくのではないでしょうか。

※掲載内容は取材当時のものです。

味の素株式会社様、
貴重なお話をありがとうございました。