人事DXの現状(後編)

人事DXの現状(後編)

コラム

近年、様々な分野や業界で目にしない日はないといえるほど話題となっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。人事分野においても、”人事DX“に注目が集まっています。このコラムでは、人事DXの可能性について人事の機能別に検討してみたいと思います。
前編では「採用」と「教育」について検討しました。後編では「配置」と「評価」についてみてみようと思います。

配置 ~個人の実力が発揮できる配置を行う~

適材適所を実現するための配置にもITの活用は進んできます。「タレントマネジメント」と呼ばれる分野においては、社員に関連するデータを一元的に管理していくことで、その人も持っているスキルやデータを様々な切り口から検討し、いままで画一的だった配置検討が、新しい視点を加味して行えます。
社員数が増えてくることで、「顔と名前が一致しない」「だれがどんな強みを持っているのかが分かりにくい」という悩みはどんな会社でも起こりえます。そうした中で、顔写真を並べて現状を俯瞰したり、様々なデータにヒットする社員を抽出して、配置換えをシミュレーションしたり、といったことを画面上で行い、それを関係者で共有することができます。
こうした配置転換のデータや評価データが蓄積されていくことにより、社員のパフォーマンスとの関係性などを分析し、より「適材適所」を実現していくことも期待されています。

評価 ~公平感のある評価をする~

人事評価の分野でも、IT活用の動きは広がっています。評価者の主観をできるだけ排除していくための手段として、AIが期待されているためです。
AIを活用した人事評価システムは、成果や長所短所といった評価対象者のデータをAIに分析させ、評価基準に基づいて評価を行うことで、評価する側のバイアスがかかることなく、公平な評価を実現することを目指しています。
また、様々な評価軸を用意して多角的な評価を短期間で行うことができ、新たなタレントを見出したり、タイムリーな評価によるエンゲージメントのアップ効果も期待されています。
日本国内では人事評価にAIを活用する例はまだ多くはありませんが、すでに海外では、給与を決定する際の参考情報を提示するなどの活用が進んできています。

まずは、社員に関連するデータの集約から

2回にわたって、人事DXの可能性についてお伝えしてきました。人事DXは進化中であり、新たな研究成果やサービスも続々と登場しています。その中でどのような課題に対し、どのような成果を目指すかという点においては試行錯誤が必要ですが、重要なのは、こうした取り組みを行っていくために、社員個人に紐づく情報をできるだけ早い段階で集約してデジタル化していくことではないでしょうか。
基本的なプロフィールはもちろん、採用時の評価や、受講している研修や学習の進捗、評価の記録といったデータをまとめて管理できるようにしておくことで、そのデータを解析し、それぞれの人事業務の「教師データ」として活用していくためには、その量は多ければ多いほど信頼性が高くなっていきます。どのような施策を行うかは検討する一方で、まずはいち早く社員の情報を個人にデジタル情報として集約し、蓄積できるデータベースの構築し、「社員の見える化」を推進していくところから検討を開始してはいかがでしょうか。