「2025年度(令和7年度)新入社員のタイプは・・・?」

「2025年度(令和7年度)新入社員のタイプは・・・?」

人事労務分野の情報機関である産労総合研究所(代表・平盛之)は、このたび「2025年度(令和7年度)新入社員のタイプ」を発表しました。

2025年度新入社員のタイプと注目キーワード

 2025年度の新入社員は、オンラインでの学習や就職活動を経験してきただけでなく、情報収集力や分析力を高めてきた背景があります。

就職活動では早い段階から行動する人と動きが遅れる人との二極化が進み、内定獲得のペースにも差が見られました。目的意識が強く、明確なゴールを持って企業を選ぶ傾向がありますが、過度な効率追求はチームワークや根気強い作業への理解をやや弱めることもあります。こうした背景を踏まえ、彼らが求めるキーワードとしては

「タイパ(時間対効果)」  「デジタルコミュニケーション」  「成果重視」 などが挙げられます。

このように、2025年度の新入社員は常に最適解を求めようとする姿勢が強く、周囲からのフィードバックを素早く吸収する点が特徴です。受け身のようでいて、自分発信のアイデアや自立心を持っている人材も多いため、明確な目標設定と柔軟なサポート体制をうまく組み合わせることで、大きな成長を期待できるでしょう。

変化を呼び込む!新紙幣タイプ

 2025年7月に20年ぶりに発行された新紙幣には、偽造防止技術やユニバーサルデザインなど最新技術が盛り込まれている。これは、多様性を受け入れ、最新のITリテラシーを身につけている今年の新入社員のようだ。一方で、新紙幣の導入にあたっては設備や投資が必要となるように、新入社員を受け入れる側はコミュニケーションや育成の方法を変えていくことが求められる。彼らの存在によって、企業や組織に変化が呼び込まれる可能性は高い。

(引用:産労総合研究所 https://www.e-sanro.net/freshers/?page_id=896

これまでの価値観を刷新していく存在として、新たなシンボルになり得る今年度の新入社員を“新紙幣タイプ”と呼ぶ声があります。新紙幣タイプとは、これまでの慣習や固定概念に染まらず、新たな視点で組織にイノベーションをもたらす可能性を秘めた人材を指します。

従来のやり方に疑問を感じたときに素直に声を上げられ、デジタルツールを使いこなして仕事の進め方そのものを効率化する力を持っています。特にSNSやオンラインツールを用いたアイデアの交換に積極的で、組織の仕組みを再構築するエンジンになり得るのが特徴です。

一方で、このような人材は既存の枠にとらわれない考え方をするため、周囲から見ると挑戦的に映ることもあります。自分自身の考えを深める一方、組織や上司の理解を得るためのコミュニケーションにやや時間がかかる場合もあるでしょう。彼らの新しい発想をどう受け止め、共感を生む仕組みを作るかが大きなカギになります。

企業側がこの新紙幣タイプを活かすには、明確な役割を与えるだけではなく、自律性を認めてあげることが重要です。適度な権限移譲やプロジェクト型の業務でその力を発揮させ、かつチーム内で協力し合うカルチャーを醸成することで、成果を生み出すスピードと質を高められるでしょう。

失敗が怖い?デジタルネイティブの葛藤

 Z世代にあたる世代は、常にSNSにあがっている成功者をみる機会が多く、人の目を意識するあまり失敗を恐れる傾向が見られます。オンライン上の情報が膨大にあることで、何が正解かをすぐに調べられる反面、
自ら試行錯誤する経験が少ないまま社会に出るケースもあります。
 これが新入社員として実務に取組む際の葛藤につながり、自分からリスクを取って行動することに抵抗感を覚えることがあるのです。

その結果、相談や報告のタイミングが遅くなり、気づいたときには問題が大きくなっているという場面も起こりえます。こうした葛藤を解消するには、上長や先輩が自律的な行動を促す環境づくりと、挑戦へ背中を押すフォローが欠かせません。失敗を次につなげるプロセスを具体的に示してあげることで、心理的安全性が働き、恐怖心を和らげる効果が期待できます。

企業としては、デジタルネイティブならではの便利さや情報収集の早さを活かすと同時に、意図的に実地での経験を増やすことが大切です。成功パターンと失敗の許容範囲を共有し、試行錯誤から得られる学びを評価することで、彼らの積極的なチャレンジを促すことができるでしょう。

効率重視の仕事観とがむしゃら精神の差

効率を追求する姿勢は、新入社員世代の大きな特徴として注目されています。

アプリやオンラインのツールを駆使すれば、仕事のスピードや正確性は格段に高まるため、先輩社員にはなかった発想やノウハウをもたらすケースが多いです。

一方で、従来の「根性論」や「まずはやってみる」というアプローチを理解しづらく、少し長期的な視点を必要とする業務にはモチベーションを見出しにくいこともあります。努力や忍耐が求められる場面では、なぜこの作業が必要なのか、どのように役立つのかを論理的に示すフォローが効果的です。

がむしゃら精神と効率思考がぶつかると、上司や先輩が「昔は当たり前だった」と感じる部分が、新入社員にとっては「無駄」に映る可能性があります。
そこで、双方が納得できる共通認識や目標を設定し、効率ばかりでなく学ぶプロセスの重要性も共有することで、チーム全体の力をより高める方向へ導くことができるでしょう。

新入社員が大切にする価値観・メンタリティ

新入社員の価値観やメンタリティを把握することで、育成やサポートの方向性を見極めることが可能です。今年度の新入社員は、職場での役割や目標が明確であることを特に好む傾向にあります。
実務に入ってからも、成果を測定する指標を可視化してほしいという声が多く、曖昧なプロセスや評価を苦手とする人が多いです。これは情報の断片を素早く集め、合理的に結論を導きたいというZ世代らしさが反映されているといえるでしょう。

ストレスへの耐性やモチベーションの保ち方についても、従来とは異なる感覚を持っています。SNSでのつながりやリアルタイムなコミュニケーションに慣れているため、一人で抱え込まずに周囲と連携することが得意ですが、その一方で批判や否定的な意見には敏感です。肯定的なフィードバックをこまめに与えることが、仕事への意欲向上につながります。

社会全体の動向や企業の理念にも、この世代は敏感に反応します。企業がSDGsやダイバーシティ推進など、社会的課題への取り組みを示すことで共感を得やすく、組織へのロイヤルティが高まります。こうした価値観を理解したうえで、研修や評価制度を設計することが、若手育成のカギとなるでしょう。

クローズドマインドと強い承認欲求の両立

新入社員の中には、自分の興味領域や専門性に深くこだわり、その他のことにはあまり関心を示さない“クローズドマインド”とも言える姿勢を見せる人がいます。

しかしながら、同時にSNS上での「いいね」や周囲からの応援を強く求めるなど、承認欲求が高い一面も持ち合わせています。この二面性は、一人で集中して成果を上げたい反面、成果をしっかり認めてほしいという欲求の表れでもあります。

組織としては、個々の強みを認めつつ、どのようにしてチーム内で知見を共有させるかが課題となるでしょう。うまく行けば専門性と協調性の両立が可能であり、組織力の向上にも寄与します。

管理者や先輩が意識すべき点は、閉じこもり気味な姿勢に対して否定的なアプローチをしないことです。むしろ専門性を評価しながら、他のメンバーとの関係性を築く仕組みを提案するなど、適度な刺激を与えることで、本人のモチベーションを保ちつつ組織の一体感も高めることができます。

はっきりした正解を求める傾向と報連相への苦手意識

SNS時代に育った世代は、検索やオンライン情報を頼りに“即答”を得られる環境になじんでおり、曖昧な状態で考え続けることを苦 手とする傾向にあります。仕事でもはっきりとした、あるいは合理的な正解を求めがちです。

その一方で、報連相(報告・連絡・相談)など、チームワークを円滑に進めるためのコミュニケーションが後回しになりやすい点も見受けられます。自分で調べれば解決できると思い込み、周りとの情報共有を軽視してしまうケースもあるのです。これが原因となってトラブルが大きくなることも少なくありません。

企業側としては、あえて正解が一つに決まらないプロジェクトや、チーム全員の知恵が必要なタスクを導入することが有効です。こうした経験を通して、情報共有とコミュニケーションの重要性を体感させる仕組みを作り、正解探しだけではない学びの姿勢を育むことが期待できます。

Z世代の新入社員を育成するための具体策

情報収集力が高いZ世代は、自主性を発揮する環境が整えば大きな伸びしろがあります。育成の方針としては、具体的かつ柔軟なプログラムが有効です。

研修設計においては、新入社員自身が課題を見つけ、解決策を提案するようなワークを取り入れることが効果的です。すでにオンラインツールに慣れている世代ですから、デジタル上での共同作業やリサーチに抵抗がなく、予想以上の生産性を発揮するケースもあります。これを活かしながら、一方通行の座学では得られない体験型学習を充実させると大きく成長が見込めます。

また、新入社員は自身の目標達成や成果が非常に重要と考えているため、進捗管理の仕組みをわかりやすく設計してあげることもポイントです。週単位での目標確認やレビュー、上司との1on1ミーティングなど、短いサイクルで進捗を見える化すると、仕事に対する納得感が高まりやすくなります。

一方で、あまりに細かいマイクロマネジメントは逆効果になります。自律性を尊重しつつ、必要に応じて補助するポジションを明確にすることによって、若手の創造性や積極性を伸ばすと同時に、ミスやトラブルの早期発見・解消につなげられるでしょう。

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早期離職防止に向けたサポートとキャリア自律の支援

近年、新入社員の早期離職が課題になっていますが、Z世代は特に自身のキャリアビジョンと会社の方針が合わなくなると早期離職につながりやすい傾向があります。本人たちにとっては、仕事を通じてどのようなスキルを得て、どのような生き方が実現できるかが重要です。

企業としては、新入社員のキャリア自律をサポートする制度や面談を設け、長期的な視点で成長を描けるよう働きかけることが不可欠です。具体的なキャリアプランを形にし、上司や先輩と共有する仕組みを取り入れると、自分の成長を実感しやすく、会社への定着率も高まります。

さらに、メンタルヘルスやワークライフバランスの支援も軽視できません。プライベートの時間や趣味を大切にしたいという考え方が強まっているため、多様な働き方を認める制度や相談体制を準備し、本人に合った環境を整えられることが企業の評価にも直結します。

まとめ 今年度新入社員へのアプローチと今後の展望

今年度の新入社員を取り巻く環境は変化が激しく、細かなニーズへの対応が求められます。今後は柔軟なマネジメントと明確な成果指標の両立が必須となるでしょう。

新しい価値観を持つ2025年度の新入社員は、デジタルや情報収集のスキルを武器にしながら、これまでになかった視点で組織を変革していく可能性を秘めています。ただし、失敗を恐れたりコミュニケーションを敬遠したりしがちな面もあるため、企業や上司には丁寧なフォローと目的を共有する働きかけが求められます。

従来の「当たり前」を押し付けるだけでは、新入社員のモチベーションやクリエイティビティを損なうリスクがあります。新しいものを取り入れる柔軟性と、組織としての一貫性を両立させることで、個人とチームの可能性がより大きく広がるといえるでしょう。今後、企業が持続的に成長するためには、今年度新入社員の持つ感性や行動力をうまく活かしながら、新しい企業文化を共に作り上げていくことが鍵となります。

最終的には、個々の能力を発揮できる環境構築と、明確かつ納得感のある評価体系を両立させることが重要です。多様な人材が集まる時代だからこそ、相互理解を深めつつ、共通の目標に向かって協力し合える体制を築くことで、企業と新入社員の双方がWin-Winの関係を築くことができるでしょう。