以前のコラムで「面接官に役立つ心理学」というテーマにて、現場の面接官を務めるにあたって知っておきたい心理学の法則について幾つかご紹介しましたが、今回は「マネージャ向け」という切り口でのご紹介です。
「各メンバーへの動機付けを行い、パフォーマンスを引き出してあげること」や「常にメンバーに対して公正な態度で接し、公平な評価が行えること」は、マネージャを務めるうえでの重要な素質の一つです。
本コラムの内容を、頭の片隅にでも覚えておいていただければ幸いです。
ラベリング効果
【概要】
対象となる人物に対して、意図的にラベリング(属性付け)を行い伝えることで、対象者に暗示をかけ、相手をラベリングされたとおりに動かしていく心理効果のこと。
【どのような場面で役に立つ?】
例えば、部下に対して「いつも仕事が早いね」と意図的に繰り返してフィードバックを行うと、その部下は「仕事が早い」ことを「自分の長所や特性」だと信じ込み、期待に応えるよう行動が変化していきます。あなたの期待するパフォーマンスを部下が発揮できるよう、褒めながらもこっそりと誘導することが、個人の成長を加速させるための隠れたポイントかもしれません。
対比誤差
【概要】
ある人物を評価する際に、評価者自身の能力や価値観、好き嫌いを基準として評価してしまうことでバラツキが発生し、評価の公正・公平さを欠いてしまう現象のこと。
【どのような場面で役に立つ?】
公正かつ公平な人事評価制度を機能させるためには、客観的な評価のできる項目や基準を設定し、運用を浸透させることが不可欠です。会社としての基準を定めないまま、すべてを評価者に委ねてしまうと、どうしても評価者の得意・不得意や好き嫌いによってブレが生じてしまい、結果としてフィードバックを受けたメンバーのモチベーション低下、さらには会社への帰属意識の低下にもつながりかねません。新たにマネージャになったような、評価者の立場としてまだ不慣れな人材に対しては、自社の評価制度に対する運用説明会を開き参加させるなど、フォローアップ施策を行うことが望ましいでしょう。
中心化傾向
【概要】
数値による定量評価を行う際、例えば評定尺度法(例:1点~5点)のような評価軸を設定した場合に、真ん中にある「どちらでもない(3点)」という選択肢に回答が偏ってしまう現象のこと。
【どのような場面で役に立つ?】
人事評価の場面において、評価シートを作成し利用する場面は、どの会社でもよくあることかと思います。ただし、3段階や5段階の評定尺度法は、多くの場面で活用しやすいものの、中心化傾向が強く表れる傾向があります。そのことを念頭に置いたうえで、機会があれば尺度単位の変更(例えば5段階から6段階へ)を行ったり、各段階の基準の引き直しを検討したりするのは如何でしょうか?
逆算化傾向
【概要】
評価者が自らが求める総合結果になるよう、逆算して各項目の評価を調整してしまい、結果として正しい結果が得られなくなってしまうこと。
【どのような場面で役に立つ?】
人事評価を行う際に、限られた報酬やポストといった配分の都合上、帳尻合わせをしてしまうことはありませんか?また、総合評価は正しいように見えても、各項目の評点まで掘り下げてみると、事実とは離れた評価になってしまっていませんか?
このような「結果ありき」の採点を行わないようにするために、
・客観的かつ明細な評価基準を設け、それを積み上げた総合評価を実施すること。
・複数の評価者を設け、そのギャップを補正しながら、最終的な総合評価を下すこと。
のような対策を心がけましょう。
「Stella」はラテン語で「星」。「S」はサービスを意味しています。
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