人事データの一元管理と可視化のメリットと実践方法を解説

人事データの一元管理と可視化のメリットと実践方法を解説

適切な人材配置や評価を行う上で欠かせない「人事データ」。戦略人事を進める上で人事データの管理が重要になりますが、社内に情報が分散していてスムーズに活用できない、埋もれた情報があり詳細まで把握できていないといった企業もあるようです。

この記事では、人事データの一元管理・可視化を行うメリットとともに、システムを用いた人事データの管理の実践方法について解説します。

人事データとは

人事データとは従業員に関する様々な情報のことで、本人の基本情報(性別、生年月日、連絡先など)や職歴、資格、スキル、人事評価、キャリアビジョンなどが含まれます。このような人事データは労務管理だけでなく、適切な人材配置や人事評価の実施、また採用計画や事業計画の策定において必要です。

しかし、企業によっては人事データの管理方法が統一されておらず、どこにどのような人事データがあるか把握しきれていない場合や、人事データは収集できているもののそれを活用できる状態にはなっていない場合があります。日々蓄積していく人事データを適切に管理し、人事業務の効率化やデータに基づいた判断を行うには、紙やExcelデータ、各システムに分散している人事データを一か所に集約する「一元管理」と、従業員の詳細な情報を目に見える状態にする「可視化」が求められます。

経営戦略と人材マネジメントを連動させた「戦略人事」を実践するためには、CoE(優秀な人事部)やOPs(正確かつ効率的なオペレーション)、OD&TD(組織と人材の開発)などの機能が必要です。これらの機能が担う役割を果たし、自社の経営目標を実現させるうえでも、人事データの一元管理と可視化は欠かせないものとなっています。

人事データの一元管理と可視化を行なうメリット

分散していた人事データを一元管理・可視化することで、人事業務においては以下のようなメリットを得られます。

●人材マネジメントを効率化できる

人材マネジメントとは、従業員の労働時間の管理や給与計算だけでなく、適切な評価やキャリアアップ支援によるモチベーション維持、従業員の能力やスキルを活かす人材配置によって企業の成長につなげるものです。人事データの一元管理と可視化を行うことで必要な情報をすぐに引き出せるようになるため、人材マネジメントにおいて重要な採用や配置、育成、評価を効率的かつ効果的に実施できるようになります。

戦略人事の実現度が高まる

ビジネス環境の変化に対応し持続的な企業成長を果たすために、人事部に求められる新たな役割として「戦略人事」が注目されています。戦略人事の実現度が高い企業は、人事データの一元管理と活用ができているという特徴があります。

人事データの一元管理を行っている企業では、人的資源の調整や配分、次世代リーダーの発掘や育成、緊密な社内連携や従業員支援が可能となり、戦略人事に取り組むうえでも高い効果を発揮しています。

事業計画や採用計画に活かせる

人事データの一元管理と可視化が実践されている企業では、事業計画にあわせてどのようなスキルを持つ人材を活用すべきか、あるいは、どのような人材を新たに採用すべきか考えるときに、必要な情報の抽出・分析をスムーズに行うことが出来ます。従業員の基本的な情報だけでなく、スキルや特性、キャリア志向、目標などの細かい情報まで収集・管理出来ていれば、より精度の高い戦略を立てられるでしょう。

正当な評価によりエンゲージメント向上につながる

従業員の能力や実績を正確に把握し適切な評価を行うには、定量的なものから定性的なものまで様々な要素が可視化できる状態になっている必要があります。データを根拠とした正当な評価により「自分の能力をしっかりと評価してくれている」と従業員が納得出来れば、生産性やエンゲージメントの向上、優秀な人材の定着につながるでしょう。

人事データ一元管理と可視化の実践方法

人事データの一元管理と可視化を実践するための具体的な方法を以下にまとめました。

●人事データの一元管理と可視化をおこなう目的を定める

まずは自社が目指す姿や解決したい課題を明らかにし、人事データの一元管理と可視化に取り組む目的を設定します。はじめに目的を明確にしておくことで、収集すべき人事データの検討やシステムの選定がスムーズにおこなうことが出来ます。

●人事データの現在の管理状況を把握する

現在の社内において人事データはどのような状態で保存されているのか、埋もれたままになっている貴重な人事データはないかなどの確認を行います。紙やデジタルデータとして点在している情報、複数のシステムで管理している情報は、一元化する際にとりこぼしがないようにしっかりと把握しておく必要があります。

●人事データを一元管理できるシステムを導入する

人事データの一元管理と可視化を実践するためには、自社が定めた目的に適したシステムを取り入れるのが最も早いでしょう。システムの種類には、導入まで時間がかからず初期費用と管理コストを抑えられるクラウド型、自社内でサーバーを保有し高いセキュリティとカスタマイズ性を叶えるオンプレミス型などがあります。今利用しているシステムの一つに情報を集約することも不可能ではないものの、そのシステムは自社が目指す人事データの活用が出来る仕組みになっているか考えなければなりません。

●人事情報の運用ルールを定める

システム導入に伴い、収集する人事データの詳細や情報更新のタイミング、責任者と権限者の設定など、人事情報管理の運用ルールを明確化する必要があります。一元管理の目的を実現する効果的な人事データの運用、さらに従業員データを扱う上では個人情報保護の観点も含めてルール設定するとよいでしょう。

●人事データの収集と活用、メンテナンスを繰り返す

実際に情報収集やシステムへの入力を行い、配置や評価へ活用します。情報は誤りや欠損が無いよう整理し、常に最新の状態になるようメンテナンスを繰り返し行うことが必要です。加えて、人事データを管理しながら、収集する情報や運用ルールを定期的に見直すことも大切です。

まとめ

人事データは労務管理に限らず、適切な人材配置や評価、事業計画を策定する上でも必要不可欠なものです。人事データの一元管理と可視化を行うことで、人材マネジメント業務の効率化や戦略人事の実現など様々なメリットを得られます。

社内に散財する人事データを一元化するには、目的や運用ルールの設定、管理状況の把握、システムの導入などが必要となるものの、その効果を考えると工数がかかっても取り組むべき施策といえます。これからの時代に欠かせない戦略人事を進めていく上でも、人事データの一元管理と可視化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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